気づいたらいつの間にかブログを更新しないまま3ヶ月が経過してしまった。この3ヶ月間は色々なことで頭の中が支配されていてブログを書く気が起きなかった。ジャムセッションにも7年ぶりに参加した月でもあり、セッションで見えた課題に対して解決策を探したり、基礎的な練習を増やしたり、今まで以上に音楽に没頭していた。
8月の初旬からジャムセッションをし始めた。最後にセッションをしたのはミネアポリスで2018年だった。7年ぶりは緊張したが楽しかった。音楽を通して行う駆け引きやコミュニケーションという概念を忘れかけていた。しかし初対面の人と話すの同様に、知らない人と音楽を演奏するのは緊張する。緊張してリズムが先走る傾向にある。
一方でセッションでしか得られない経験があることに気づき始めた。部屋で録音してカメラの前で演奏するのとは違い、ソロにやり直しが効かない。そのため、自身がより音楽の中に存在していることを認識する不思議な感覚がある。そしてセッション後はあの時こういう対応をすれば良かったと反省し、次の機会に同じミスをしないように練習方法を変えたりする。
今後はより多くのセッションを通して自身の間違いを修正しないといけない。
また対面でミュージシャンとの交流は情報収集する点でも非常に意義がある。他人からオススメの音楽を聴かないと私の聴く音楽は偏ってしまう傾向にある。他のアーティストが何に価値を感じて研究しているのか知るためだでもセッションに行く価値はある。今の壊れたインターネットをサーフィンするよりも効率よく情報収集できるかもしれない。
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鴻島の8月、9月は暑かった。日中の練習を試みると、どうしてもエアコンに頼ってしまう。1−2週間は暑さがピークに達してエアコンを付けざるを得なかった。しかし目の前が海なので、暑くなりすぎたら海水浴できるので良かった。海に浮いているとこの季節はまるで暖かいブランケットに包まれたような気持ちなる。真っ青な海に浮かびながら真っ青な空、深緑に囲まれてとても心地が良かった。
一方で8月の鴻島は普段と比べて人が多かった。8月お盆の季節に宿泊しにくるゲストは最大で一日30人近く来ることもあった。鴻島はこの季節は年間一番人が来る。普段は鹿や猪、アライグマなど動物に遭遇することが多いが、暖かい季節だけ人の遭遇率が上回る。
8月初旬は7月に続きチャーリー・パーカーのBirds of Paradiseのソロのコピーをしていた。彼のクロマチックな下降フレーズやシンコペーションを体得する必要があると感じていた。またコルトレーンのIt could happen to youのソロをコピーした。
割と短いソロだったので12キーでコピーした。Ebから始めて簡単なキーは2日で、苦手なキーは5日程度掛けた。一度12キーでソロコピーしてみたかったのと、トライアドのOpen Voicingを全てのキーで反復する必要があると感じたため取り組んだが、最後の方は飽きてくる。興味がなく飽きる状態だと練習時間も減る傾向にある。面白い練習をしなければいけない。一方で興味があることだけ取り組んでいるとおそらく四六時中マイケル・ブレッカーを聴いたりコピーしているためこれも一概に良いとは思えない。ブレッカーをコピーするためには彼よりも前に生きた音楽家たちの曲を先に研究する必要があると感じているため、聴いている曲もアートテイタムやレスターヤング、バドパウエルやブルースが多かった。そのため、9月、10月は以下の曲をコピーした。
Take the Coltrane: 初めて聴いた時、コルトレーンのタイムに感動した。フレーズや音の選択に魅力を感じたというより、トレーンのリズムが素晴らしい。特にトライアドペアの上昇系フレーズ
Lady Be Good: レスターヤングのソロ。彼のスイングのリズム感を掴みたかった。レスターを聴いていると、いかにバードに大きく影響を及ぼしたかが分かる。バードを最初聞いた時、彼は火星かどこかで生まれたのかと思った。それぐらいバードが出てくる前のジャズと後でパラダイムシフトが起きている。一方でレスターのソロのフレーズを聴いているとバードが参考にしたであるとされるフレーズが沢山見つかって面白い。バードはカウンターポイントはクラッシックから、フレーズのアイディアはレスターから、クロマチックの動きはアートテイタムからインスピレーションを得たと推測すると、バードが突如火星から訪れた感が薄れる。
Shoe Shine Boy: レスターのソロ。バードがコピーした音源がYoutubeのどこかにある。
Celia: バドパウエルのソロ。パウエルのリズムとアクセントに惹かれた。
Sonny Side: ソニースティットとバドパウエルのソロをコピーした。二人のリズムに感動した。
I Remember You: キャノンボールのアーティキュレーションに感動した。シンコペーションを研究するため、練習中。
練習を振り返ると、過去は多くの時間をフレーズ収集に費やしていたが、最近はソロのコピーを通してグルーブやリズム感を掴もうとする練習に焦点を当てる傾向にある。
リズムの学習は難しい。極めて抽象的で、音と違って教科書で説明しづらい。一方でリズムをより意識すると、リスニング時の解像度が上がる。今まで見えてこなかったものが見えてくる。最初はビバップ前の音楽家(レスター、コールマンホーキンス、アートテイタム)やパウエルなど、そこまで面白いと思わなかった。しかし今は彼らのリズム感に没頭してしまう。また、振り返ってみるとここ数ヶ月は自身のリズムをどのように音に乗せるか、どのようにバッキングや他人に依存せずに自身のリズムに頼って演奏するかを重視していた。そのため、ドライブ感のあるキャノンボールやパウエル、ソニーなど上記のソロイストのリスニングに注力していた。
他にはビバップ前の音楽家:レスターのフレーズやリズムを学習している時もあった。マイケルブレッカーの言語は素晴らしいが、一つの言語として完成されていて、レスターが使っているフレーズと比べてそこからアレンジするのが難しい。リズムという理由以外でも、自身の言語をアレンジするためにビバップ前の音楽家を研究する理由があると感じる。
あとは楽器に触れる前にコンデンサーマイクに向かってコピーしている曲に合わせて歌うことが多くなった。楽器は自身の体そのものであるということをここ数ヶ月強く意識している。そのため、コピーしている曲を効率よく体得するには曲のアーティキュレーションやシンコペーション含めた細部まで限りなく近づけて歌う必要があると考えている。
他に何を練習していたかあまり思い出せない。練習もノートに一つ一つ記載するというより頭の中から練習メニューを組むことが多くなった。最初は体系的だった練習方法も次第に変わっている。練習すればするほど課題が出てきてしまいノートに書く時間や必要性がなかったと思った。
そういえば他には右手のピチカートに注力していた。今までは3フィンガーの方向性が曖昧だった。体得するイメージが掴めなかった。最近はニールスや他ベーシストのピチカートを見て学び、やっと体得するまでの道のりが見えてきた。あとどれぐらい掛かるかわからないが、一刻も早く体得したい。リズム感の取得に加えて、この課題も優先的に11月以降も取り組む。
8月、9月は月光の下で桟橋に座り瞑想をすることが多かった。何がきっかけで何の目的で始めたのか分からないが以前より瞑想する機会が多くなった。ライブで知らない人と会うことが多くなったことから頭の整理をしようとしているのかもしれない。

また、10月初旬朝起きたら少し冷えた海に飛び込み目を覚ますようにしていた。日中は桟橋で日光浴をしながら瞑想することも多かった。下旬からは半裸で外に出るのが次第に寒くなり、10月26日の海水浴が最後になると予想する(もしかしたら寒さを求めて11月も泳ぐかもしれない)。
サイレントベースの塗装のアップデート
前回の7月のブログでサイレントベースの塗装に失敗したことを記載した。
アクリル系オイル塗料を使ったことにより塗膜が厚くなってしまい、サイレントベースが全く鳴らなくなってしまった。弾いてもつまらないので練習時間も減っていた。今回は一度塗装した塗膜をヤスリで削りTrasn Black Dyeで黒染めし、Tru Oilで仕上げた。


どちらも塗料の値段はするものの、実際に塗装後に弾いてみると音に大きな違いがあることが分かった。サステインの伸びが全く異なる。おそらくクロサワ楽器店で購入した時よりも今のサイレントベースの方が鳴る。それだけこの二つの塗膜が薄く、楽器の鳴りに悪影響を及ばさないことが分かった。塗装が楽器の鳴りにここまで影響することが不思議でならない。