数ヶ月前、アルカディアヴィレッジカフェという楽器の置いてあるカフェに足を運んだ。そこにはARIAから出ているLEGENDと言うベースギターが置いてあった。現在Amazonでも2万円近くで売られている格安のベースだった。実際に演奏してみると、サステインが長く、弦を弾いた時の振動がよく伝わる。
今までに色々なベースを試してきた。80万以上するようなFoderaやカスタムショップのベースは触れたことないが、東京・御茶ノ水に行ってはFender Vintageなどを試してきた。特段ギアに拘りがあったり購入意欲があって試奏すると言うよりは、何がベースギターの音の良さに直結しているのかの方程式が知りたかった。
アルカディアビレッジの緑のベースギターや、過去の体験からわかったことは、ベースギターの音の良さはほぼ値段と比例しないと言うことが分かった。興味深いことに、コントラバスの値段は音の良さに反映される。それは、エボニー指板のレスポンスの速さや、ラミネート加工された板よりも洗練された単板を切り出すことで、弦とボディが共振して音が出る仕組みだからだと考える。ボディが自体の面積が大きいため、木材の良し悪しが影響しやすいのも理由の一つだと考えられる。一方でベースギターのようなソリッドボディは必ずしもこれをこうしたら音が良くなる、とは限らない。どんなに年数の経った良質な木材を選定しても最終的にマグネティックピックアップを通る上に、ネックや指板、ボディ木材それぞれの相性がある。これらの相性から得られる結果が音の鳴りに繋がる。従ってエボニー指板だから音が硬くなるとかメイプルだからこうなると予測することはできても、すべてベースギターの構成部品の相性があるため必ずしも結果が反映されるとは限らない。
アルカディアビレッジの緑のベースはよく鳴る。よく鳴るベースの音の特徴を挙げるのは難しい。赤色を赤色と特定することはできても、どのような色が赤色か言葉で説明するのが難しいのと同じに感じる。従って経験から統計的情報を収集し判断する必要がある。
そして良いベースはアンプを通さずとも弦を弾くだけで違いが感じられる。寧ろ弾くことによってはじめて違いが分かるため、インターネットで見た目やモデルで購入することは、音響的利点が得られるか分からないため、特別な理由がない限り意味がないように思える。
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