
1−2月の鴻島は寒かった。とは言ってもエアコンを使用しないと寝れないような期間は2週間ほどだったかもしれない。これに関しては猛暑期間も同じで去年は2週間はクーラーに頼る必要があった。それ以外の期間は肌着の調整で気候にあまり不便に感じることなく過ごしている。
1月-5月はリズムに焦点を当てていた。レスターヤングを数ヶ月前にコピーした効果が今現れたのか体内パルスのアップビートの感じ方が改善されたように思う。体内パルスを改善するため、時には声に出してカウントしながら即興したり、様々なbpmのメトロノームクリック音を頭の中で様々なビートに分割する練習をしたり、Moiseでソロイストだけ抽出してそれに合わせて演奏した。
また多くの時間をライドシンバルやカホン叩いたり、コントラバスの左手右手に注力していた。一度体内パルスに気づくと今まで聴いていた音楽の聴き方の違いに変化が出ることがわかった。
鴻島の生活は素晴らしい。時間や曜日を気にすることなく自身のペースでやりたいことに集中できる環境がある。どれだけ不便でも虫のパレードであっても澄んだ空気や自然の美しさと鳥の音に囲まれるため、心の回復を感じる。ここに住み始めて一年経った今、自身の脳の構造が変化したという感覚がある。特により感覚、感情に対して敏感になり、自身の存在意義や社会概念を考えることが多かった。
1月-5月通してリズムという主軸で課題曲を選んだ。1月はブルースに心をうたれた。今までブルースは洗練されていない音楽という愚かな先入観を持っていたため、この音楽の素晴らしさに気づくのに時間がかかった。グルーブに焦点を当てると体を動かさざるを得ないほど素晴らしいリズムがある。Tボーンウォーカー、マディーウォーターズ、キング系、特にアルバートキングのソロをコピーしていた。あとソニーロリンズを聴いていることも多かった。コルトレーンのタイム感に気づくとソニーと比較することができて、同じフレーズでも二人の伝えたいメッセージがまるで異なるような感覚がある。勿論コルトレーンも多く時間をリスニングしてソロコピーしていた。クリスポッターのアルバム、Youtubeに挙がっている彼一人で演奏している動画を連日、数週間聞き続け、ライドシンバルを叩くことも多かった。 マイケルブレッカーがコルトレーンの影響を受けていた一方、クリスポッターはバードの影響を受けていたことが聴こえる。楽器という制限から解放された二人を比較しても彼らのタイム感が全く異なることが興味深い。キャノンボールやバード、グラントグリーンもよく聴いていた。ジョーパスのVirtuosoのソロをコピーしたり、彼らのタイム感を掴むことも意識していた。この練習の過程で、カホンを叩いたり、ソロに合わせてコンデンサーマイクに向かって歌ったりする直感的な練習方法も効果があったように感じる。
後は多くの時間をコントラバスの左手右手の改善に費やしていた。過去の私が今の練習を見たらあまりにも基礎的でつまらない作業を行なっていることに驚くと思う。それぐらい、右手の指で弦を弾いたり、左手はなるべく力を入れず肩や他腕より大きな筋肉で押弦することの反復作業をした。最近こそエレキベースもコントラバスのように楽器を研究するという観点で取り組む必要があると感じるようになったが、コントラバスは弾くだけで物理的な負担がかかる楽器であるため、楽器の弾き方を研究しないと、例えばE弦のハーフポジションでさえ一貫した音が出ないことに気づく。左手は特に指の腹ではなくできる限り指先で弾くことをより意識しているため、左手のポジショニングを根本的に見直す必要があることに気づき、Amazonで安いコントラバスの弓を買って練習することもあった。(弓は1週間経たないうちに毛が取れたので安物買いの銭失いとなった)
コピーしたソロ
Albert King – Cross Cut Chainsaw
彼のタイム簡に感動した。数少ない音でここまで感情的に表現できるアルバートは素晴らしい。
C.P.E. Bach – Solfeggio in C minor
運指練習用に一月にコピーした。他の曲と比べてそこまで注力して何度も聴いていなかったが、洗練されたメロディに聴こえた。作曲者がBachと書いてあったので最初はヨハンバッハだとずっと勘違いしていた。この曲も上のアルバートの曲も数少ない材料・音階で豊かに表現できる素晴らしさに気づくキッカケになった。
All The things you are – Joe Pass
今年の2月からジョーパスを集中して聴くことが多かった。特にVirtuosoのアルバムは彼のタイム感が素晴らしい。Moise(音楽アプリ)を使ってカルテットから彼のギター音だけ抽出しなくてもVirtuosoは彼がソロで弾いているのでより彼のタイム感が掴みやすい。オスカーピーターソンのスイング感は素晴らしいが、たまにオスカーのスイング感がすごいのか、後ろで弾いているレイブラウンのスイングが凄いのかよくわからない時がある。この点においてはアルバムVirtuosoはジョーそのもののタイム感を掴むのにいい練習になる。
How High the Moon
Virtuosoの中でも最も長くリズムを固定して演奏している曲だった。ジョーパスのスイング感は半端ない。ギタリストの中で一番好きなスイング感かもしれない。コピーはしていないが、彼のThere Will Never Be Another Youのソロも凄まじい。聞けば聴くほど、1音に魂が込められているのが聴こえる。特にジョーのアコースティックギターの音がフルアコ音より魂の込め具合が顕著に感じる。彼の感情的表現やニュアンスがより繊細に聴き取ることができる。
Syzygy
Sygyzyは2024年千葉で会社員していた時に毎朝日課で一年中通して聴いていた。彼のセルフタイトルアルバム:Michael BreckerはSygzyだけでなく、My One And Only Loveなど一曲の完成度が高い。2026年はマイケルブレッカーのソロコピーをするか躊躇っていた。というのも彼のリズムをMoiseで抽出してバードやコルトレーン、レスターと比較するとアップビートの感覚が薄い。リズム感を掴むという点では、バードやキャノンボールを優先してスイング感を掴んだ方が最適と感じてマイケルのコピーを避けていた。しかしどうしてもコピーしたくなりコントラバスで練習していた。彼の無意識に出てくるフレーズはコルトレーンチェンジの影響を受けていることがわかり面白かった。しかし今の私には到底オリジナルスピードx1.0をコントラバスで弾くことはできない。また、彼のタイム感はあまりにも精確すぎてダイナミクスを意識しづらいため、今の私はマイケルをコピーするのはまだ早いように感じた。
Mr. P.C. – John Coltrane
誰もが知っているMr. P.C.。初めて聴いた時からいつかコピーしたいと思っていた。最近エレキベースではやっと左手右手がそこそこ動くようになったため、コピーした。彼のソロを分析するとC.P.E Bachと同じでCマイナーのスケールの中にここまで多くのフレージングとリズムパターンの組み合わせで表現ができることに感動する。
I Hear A Rapsody – John Coltrane
彼の他の曲のソロと比較して速いフレージングがないため、割とアプローチしやすいソロだった。Mr.P.C.やCountdownを聴くとコルトレーンにとってこのテンポはテクニックの観点ではウォームアップになるかどうかすら怪しい。彼のリラックス感や余裕が伝わるのでより1音1音を精確に演奏しているのがわかる。
Groovin’ High (Live At Carnegie Hall, 1947)
カーネギホールのバードの演奏。同コンサートのNight in Tunisiaも良かった。どちらかをコピーするか迷ったがバードのモチーフ継承アプローチとタイム感に感動したためこのソロをコピーした。バードのコピーはクロマチックの下降アプローチフレーズや16分音符の高速フレーズが出てくるため、ソロを聞き取るのが難しく、一見(フリーを演奏していない)コルトレーンやマイケルブレッカーのソロの方が難しそうに聴こえるが、バードのソロ取得の方が時間がかかるような気がした。